歯茎が腫れて痛い!すぐできる応急処置と考えられる病気を解説
「歯茎が腫れて痛い…」「急に歯茎が腫れてきたけど、どうしたらいい?」と困った経験はありませんか?
歯茎の腫れや痛みは、歯周病や虫歯の悪化だけでなく、親知らずの周囲の炎症など、さまざまな原因によって起こります。今回は、歯茎が腫れる主な原因や、痛みがあるときに自宅ですぐできる応急処置、歯科医院を受診する目安について解説します。

なぜ?歯茎が腫れる・痛む代表的な原因
歯茎の腫れや痛みは、口の中で何らかの炎症が起きているサインかもしれません。症状が一時的に治まっても、原因となっている病気が隠れていることがあります。ここでは、歯茎の腫れ・痛みにつながる代表的な原因を解説します。
◾️歯周病(歯槽膿漏)による炎症
歯周病が進行すると、歯と歯茎の境目に細菌が増え、歯茎に炎症が起こります。歯茎が赤く腫れたり、歯磨きのときに出血したりするほか、症状が進むと膿がたまり、強い腫れや痛みを伴うこともあります。特に、歯周病が急に悪化した場合には、歯茎が大きく腫れて痛むことがあります。
◾️虫歯の悪化・根っこの病気
虫歯が進行して歯の神経まで細菌が達すると、歯の根っこの先に炎症が起こることがあります。炎症がさらに進むと、根っこの先に膿がたまり、歯茎がぷくっと腫れます。歯の神経を取ったことがある歯でも、根っこの中で細菌が増えることで同様の症状が起こる場合があります。
◾️親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)
親知らずが斜めに生えていたり、歯茎に一部覆われていたりすると、歯と歯茎の間に食べかすやプラークがたまりやすくなります。その部分で細菌が増えると、歯茎に炎症が起こり、腫れや痛みが生じます。症状が強くなると、口が開けにくくなったり、飲み込むときに痛みを感じたりすることもあります。
◾️磨き残し(プラーク)やストレス・疲労
歯磨きが十分にできず、プラークが歯と歯茎の境目に残った状態が続くと、細菌によって歯茎に炎症が起こり、腫れや出血につながります。また、ストレスや疲労がたまっていると、体の抵抗力が低下して口の中の細菌バランスが崩れ、普段は症状が出ていない部分の炎症が悪化することもあります。忙しいときや体調を崩したときに、突然歯茎が腫れることがあるのはこのためです。

歯茎が腫れて痛いけれど、「すぐには歯医者に行けない…」ということもあると思います。そんなときは、まず自宅でできる応急処置を行い、できるだけ患部への負担を減らしましょう。ここでは、歯茎の腫れや痛みがつらいときにできる、正しい対処法をご紹介します。
ただし、応急処置はあくまで一時的に症状を和らげるためのもの。症状が続く場合は、原因をきちんと調べるためにも歯科医院を受診しましょう。
歯茎が腫れてつらい時の「正しい応急処置」
◾️患部を優しく冷やす
歯茎が腫れて熱を持っている場合は、頬の外側から冷たいタオルや保冷剤を当てることで、腫れや痛みを一時的に和らげることができます。ただし、冷やしすぎると血流が悪くなるため、保冷剤を直接肌に当てたり、長時間冷やし続けたりするのは避けましょう。
◾️うがい薬で口内を清潔に保つ
歯茎が腫れているときは、口の中を清潔に保つことも大切です。うがい薬を使用して口内の細菌を減らし、炎症の悪化を防ぎましょう。ただし、強くブクブクうがいをすると、炎症を起こしている部分を刺激してしまうことがあります。患部に負担をかけないよう、優しくうがいをすることを心がけましょう。
◾️市販の鎮痛剤を活用する
痛みが強く、すぐに歯科医院を受診できない場合は、市販の鎮痛剤を使用するのも一つの方法です。用法・用量を守って服用し、一時的に痛みを和らげましょう。ただし、鎮痛剤は痛みを抑えるためのもので、腫れの原因そのものを治すものではありません。痛みが治まったからと放置せず、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。

やってはいけない!腫れを悪化させるNG行動
歯茎が腫れていると、気になったり、「早く治したい」と思って患部を触ったり、強く磨いたりしてしまうことがありませんか?しかし、炎症が起きている部分に刺激を与えると、症状が悪化してしまうことがあります。
ここでは、歯茎の腫れや痛みがあるときに避けたいNG行動をご紹介します。
◾️患部を指や舌で触る・押す
腫れている部分が気になっても、指や舌で何度も触ったり、押したりするのは避けましょう。刺激によって炎症が悪化したり、細菌が入り込んだりする可能性があります。
◾️患部を強く磨く
「汚れているから」と腫れている部分をゴシゴシ磨くのもNGです。歯茎を傷つけてしまい、腫れや痛みがさらに強くなることがあります。歯磨きは力を入れすぎず、患部を刺激しないよう優しく行いましょう。
◾️温める・激しい運動・飲酒
腫れや痛みがあるときに、長時間の入浴や激しい運動、飲酒などで体が温まると、血流が増えて痛みや腫れが強くなることがあります。症状が落ち着くまでは、こうした行動は控えましょう。
◾️腫れた部分を自分で潰す
腫れた部分に膿がたまっているように見えても、自分で潰したり、針などで穴を開けたりするのは絶対にやめましょう。傷口から細菌が入り、感染が広がる可能性があります。
歯科医院で行う歯茎の腫れ・痛みの治療法
歯茎の腫れや痛みがある場合、歯科医院ではまずお口の中を確認し、レントゲン撮影などを行って原因を調べます。歯周病によるものなのか、虫歯や歯の根っこの炎症なのか、親知らずの周囲に炎症が起きているのかによって、必要な治療は異なります。
そのため、痛み止めなどで一時的に症状を抑えるだけではなく、腫れや痛みを引き起こしている原因そのものを治療することが大切です。ここでは、代表的な原因ごとに、歯科医院で行われる治療についてご紹介します。
◾️歯周病が原因の場合
歯周病が原因で歯茎が腫れている場合は、まず歯の表面や歯と歯茎の間に付着したプラークや歯石を取り除き、口の中を清潔な状態に整えていきます。
炎症が強く、歯茎の中に膿がたまっている場合には、膿を出す処置を行うこともあります。歯周病が進行している場合は、歯周ポケットの中の汚れや歯石を取り除く治療などを行い、歯茎の炎症を改善していきます。
症状が落ち着いた後も、歯周病は再発しやすいため、毎日の歯磨きや定期的なメンテナンスを続けることが大切です。

◾️虫歯の悪化や歯の根っこの病気が原因の場合
虫歯が進行して歯の神経や根っこの先に炎症が起きている場合は、原因となっている歯の治療が必要です。
神経が炎症を起こしている場合には、歯の中の神経や感染した組織を取り除き、根っこの中をきれいにする「根管治療」を行います。その後、根っこの中を薬剤で封鎖し、最終的に被せ物などで歯を修復します。
すでに神経を取った歯でも、根っこの中に細菌が残っていたり、再び感染したりすることで、根っこの先に炎症や膿がたまることがあります。その場合は、根管治療をやり直すなど、状態に応じた治療を行います。

◾️親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)が原因の場合
親知らずの周囲に炎症が起きている場合は、まず炎症を抑えるために、親知らずの周辺を洗浄したり、汚れを取り除いたりする処置を行います。
腫れや痛みが強い場合には、症状に応じて抗菌薬や鎮痛薬が処方されることもあります。
炎症を繰り返している場合や、親知らずの生え方によって清掃が難しい場合には、炎症が落ち着いてから親知らずの抜歯を検討することもあります。ただし、すべての親知らずを抜く必要があるわけではなく、生え方や周囲の歯への影響などを確認したうえで判断します。

◾️プラークや磨き残しによる歯茎の炎症の場合
歯磨きが十分にできておらず、プラークが原因で歯茎に炎症が起きている場合は、歯磨きの方法を見直すことが基本です。
歯科医院では、歯ブラシの当て方や力加減、歯と歯茎の境目の磨き方などを確認し、一人ひとりのお口の状態に合わせたブラッシング方法をお伝えします。必要に応じて、歯間ブラシやデンタルフロスなどの使い方も確認します。
また、歯石が付着している場合には、専用の器具を使って歯石を取り除きます。

原因によっては「薬」で炎症を抑えることも
歯茎の腫れや痛みが強い場合には、症状に応じて鎮痛薬や抗菌薬などが処方されることもあります。
ただし、薬はあくまで炎症や痛みを一時的に抑えるためのもので、原因となっている虫歯や歯周病、親知らずなどを治療しなければ、再び症状が出てしまうことがあります。
そのため、薬で症状が落ち着いたからといって放置せず、歯科医院で原因を確認し、必要な治療を受けることが大切です。
歯茎の腫れ・痛みは「原因を治す」ことが大切!
歯茎の腫れや痛みは、原因によって必要な治療が大きく異なります。自宅での応急処置や薬で一時的に症状が和らいでも、原因となっている病気が治ったとは限りません。早い段階で原因を見つけて適切な治療を行うことが、お口の健康を守ることにつながります。
放置は危険!こんな腫れはすぐに受診を
歯茎の腫れや痛みは、時間が経つと自然に治まることもありますが、症状が一時的に落ち着いただけで、原因となっている病気が残っている場合もあります。特に、次のような症状がある場合は、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
• 歯茎が大きく腫れている、または腫れがどんどん強くなっている
• 強い痛みが続いている
• 歯茎から膿が出ている
• 顔や頬まで腫れてきた
• 発熱や倦怠感がある
• 口が開けにくい、飲み込みにくい
• 歯がグラグラする、噛むと強く痛む
• 腫れや痛みを繰り返している
これらの症状は、歯周病や虫歯、歯の根っこの炎症、親知らずの周囲の炎症などが進行しているサインの可能性があります。
自宅でできる応急処置は、あくまで一時的に症状を和らげるためのものです。痛みが治まったからと放置せず、気になる症状がある場合は早めに歯科医院で原因を確認してもらいましょう。
最後に
歯茎の腫れや痛みが起きたときに適切な処置をすることはもちろん大切ですが、本来は「症状が出てから歯科医院に行く」のではなく、「症状が起きないように予防する」ことが理想です。
歯周病や虫歯などのお口のトラブルは、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。痛みや腫れが出てから受診すると、すでに病気が進行しているケースも少なくありません。
毎日の歯磨きでプラークをしっかり落とすことに加え、定期的に歯科医院でお口の状態をチェックしてもらい、自分では落としきれない汚れをクリーニングすることも大切です。また、歯並びや歯磨きの癖、生活習慣など、自分では気づきにくいリスクを知ることで、一人ひとりに合った予防につなげることができます。
「痛くなったら歯医者に行く」のではなく、「痛くならないように歯医者でお口の状態をコントロールする」。そんな習慣を身につけることが、歯や歯茎を長く健康に保つための第一歩です。
歯茎の腫れや痛みなど、少しでも気になる症状がある場合はもちろん、症状がなくても定期的に歯科医院を受診し、健康なお口を一緒に維持していきましょう。

